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[名護商工高校]土俵のない相撲部に入部、練習を重ねた3年間そこで見えたもの

2019年07月16日

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シンガク図鑑プレゼンツ
沖縄の高校力
●名護商工高等学校 ムネネ亜礼久さん(相撲部)

県大会優勝から得た学びは
途中で投げ出さない「我慢強さ」そして「自信」
全国大会に向けて、さらなる稽古に邁進中!

土俵で培った忍耐力で次に目指すは、
県大会個人・団体優勝! 全国大会出場を
果たして有終の美を飾りたい!

土俵のない相撲部に入部
毎日違う学校で練習を重ねた3年間そこで見えたものとは!?

国頭村・鏡池からバスで1時間以上かけて通学する、名護商工高等学校3年生のムネネ亜礼久くん。担任の先生から誘われ、相撲の世界に魅了され入部。「平成30年度沖縄県高等学校新人体育大会相撲競技」の個人競技80kg級で見事優勝を果たす。実は、名護商工高等学校には土俵がない。相撲部ができて以来5年間、土俵を持つ北部農林高等学校と合同で練習をしている。朝は学校の体育館で基礎トレーニング。放課後は北部農林高校で、足を交互に空高くあげるシコ稽古や「寄り切り」「押し出し」など技に磨きをかける練習をしている。得意技は「下手投げ」。リーチの長さを武器に、県大会を勝ち上がった。違う学校の生徒とチームで練習することで、緊張感を保ちつつお互いの長所や短所を指摘し合うなど、刺激を受ける関係性を築くことができた。それが未来への向上心へと繋がっている。

土俵の上では
常に「我慢」との戦い一つひとつの
勝利が自信へと繋がっていく

大会では相手が強豪になればなるほど、周りが見えなくなるくらいの緊張感が走る。それでも対戦相手と一対一になる土俵の上では、集中力を研ぎ澄まし相手の動きを見抜き、技を仕掛けていく。「県大会で優勝を果たしたけれど、決勝では相手のミスもあった。自分の力を出し切った『良い相撲』とはいえなかった」と語るムネネくん。次の大会に向けて自分の長所を生かした「下手投げ」に磨きをかけるため、指し手でまわしを掴み引き寄せて倒す練習を毎日繰り返している。弱点は体重が増えないこと。「大会までに80kgまで体重を増やして挑みたい」ところ。弱点を強化しながら、高校総体へ向けて日々練習を重ねていくなかで、向き合わなければならない進路についても模索中。相撲に明け暮れる日々でも成績は「群を抜いている」と顧問の太鼓判つき。将来は得意の物理を生かして、ロボティクスやシステム系が学べる大学へ進学し「研究を深めながら、自分にあった専門性を見つける」ことが今の目標。まずは、7月に沖縄で行われる高校総体で、個人・団体優勝を目指す。3年間の相撲生活で培った「忍耐力」は、その先に続く人生の糧になる。総体の向こう側にある未来に対しても、ブレない芯の強さで駆け抜けることだろう。

まずは足を交互に空高く振り上げるシコでウォーミングアップ。
3年間培った忍耐力と、得意な物理を生かしてロボティクスやシステムの知識を深めたい。

 

profile
ムネネ亜礼久 Areku Munene
機械システム科3年。担任から誘われ相撲に興味を持ち相撲部へ入部。平成30年度沖縄県高等学校新人体育大会では個人80kg級で見事優勝を果たす。ケニア人の父・日本人の母、妹弟たちと国頭村で暮らしている。

【実績】
● 平成30年度沖縄県高等学校
  新人体育大会 団体準優勝
● 平成30年度沖縄県高等学校
 新人体育大会 80kg級優勝
● 第70回全国高等学校相撲選抜大会 出場