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[南部農林高校]育てた牛を出荷する寂しさと感謝。実習を通して食のありがたみを実感。

2017年07月30日

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シンガク図鑑プレゼンツ
沖縄の高校力
●南部農林高等学校 生物資源科 畜産資源コース

2017夏_高校力_南部農林メイン

育てた鶏・豚・牛を消費者の元へ届ける
責任感と命の大切さや食への感謝の心。
みんなでいい牛を育てて、次の競りに臨みたい。

生産に携わる自分たちだけが感じる
寂しさや生き物に対する感謝の気持ち。
実習を通して食のありがたみを実感。

育てた牛を出荷する寂しさと感謝。複雑な気持ちが入り交じる。

農作物の管理のほか、鶏・豚・牛の飼育、解体、加工製造、販売まで一貫した学習を行ってる南部農林高校の生物資源科 畜産資源コース。学校創立60年の開校当初から牛の飼育を行い、競りへの出荷実習も行っている。同校が競りに参加するのは年に一度。今年は1月の初競りに出品し、畜産資源コースの学生が育てた牛に60万2,000円の値が付いた。「牛1頭の平均価格は74万円台です。今年出品した牛は体高が低く、目標の価格には届きませんでした。去年初めて競りに参加したときは、自分たちが育てた牛に74万円の値が付いて、とても感動しました。ずっと育ててきた牛に会えなくなる寂しさと高値が付いた嬉しさで複雑な気持ちになりましたが、これが農業なんだと実感しました(平良)」。「血統が良く、背骨がまっすぐで横から見た形がより四角形に近い牛に高値が付きます。餌を食べやすい大きさにカットしたり、適度な運動をさせたり、飼育中も工夫をしています(真志喜)」。「学校にいる鶏も豚も牛も、自分たちで毎日管理しています。可愛がって育ててきた牛が解体を経て、食品となって戻ってきたときはいろんな思い出が蘇って、感謝して食べようという気持ちになります。この学校で初めてだらけの体験をして、食に対する考え方が変わりました(喜舎場)」。

1年で経験した鶏の屠殺実習で農業の現実をリアルに感じた

さまざまな実習を通して、命の尊さや農業の厳しさをリアルに実感している学生たち。「畜産資源コースでは、1年生のときに鶏の屠殺実習をやります。最初は手が震えてましたが、あの経験をしたことで生き物に対するありがたみが湧きました。命を扱っているので、毎日の飼育のときも動物たちを大切にしようと思います(宮里)」。「農業に関する専門的な授業や競り実習をやってきて、普通科の高校ではできない経験がたくさんできました。授業での経験を通して自分が成長することができたので、この学校に進んでよかったと思います(真志喜)」。来年の競りでの目標は、去年の競りで付いた74万円を超える牛を育てることだそう。学生たちが大切に育てた牛がどう評価されるのか。来年の競りの結果を今から楽しみにしたい。

2017夏_高校力_南部農林サブ2
現在牛舎では11頭の牛を飼育中。取材前日に牛舎にやってきた牛を見事に誘導する平良くん(写真左)。
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「学校のパンフレットで見る以上に、専門的な授業があって驚きました」と話す真志喜くん(写真右)。


profile
真志喜 智也 Tomoya Mashiki
生物資源科3年。「鶏・豚・牛の飼育など、思っていた以上に専門的な授業が多くて実習がとても楽しいです」。

平良 優太郎 Yutaro Taira
生物資源科3年。「高校卒業後は農業大学に進学して、就職後も農業の経験を積みたいと思っています」。

喜舎場 翔也 Shoya Kishaba
生物資源科3年。「元々動物が好きでこの高校に進学しました。将来はドッグトレーナーになりたいです」。

宮里 光 Hikari Miyazato
生物資源科3年。「体験入学に参加したときの体験授業が楽しくて、ここに入学することを決めました」。

【実績】
毎年一般の農家が参加する牛の競りに参加。今年1月の競りでは、畜産資源科が出品した牛が60万2千円の値に。来年の出品に向けて、日々学生たちが牛の飼育・管理を行っている。