シンガク図鑑プレゼンツ
沖縄の高校力
●辺土名高等学校 サイエンス部
全国大会で「文化庁長官賞」と「奨励賞」を受賞。
研究を続けてきたことで、やりとげる達成感や
人に伝えることの難しさ・喜びを感じることができた
河川班と野鳥班に分かれて研究&発表
苦労もしたけれど、その分自信がついた
動植物がとても愛おしい存在になった
海とやんばるの緑に囲まれた辺土名高校には、沖縄本島北部などに生息する動植物の調査・研究を行うサイエンス部がある。そのサイエンス部が昨年8月、文化系クラブのインターハイとも言われる「全国高校総合文化祭」の自然科学部門で、文化庁長官賞(2位)を受賞した。同部河川班の金城さんと新垣さんが研究したのは「オキナワヒゲナガカワトビケラ」という昆虫を採取・飼育し、その生活史を見極めるというもの。「昆虫を測定したり、データをまとめる作業はとても細かく地道なものです。ほかの部員の存在が続けるモチベーションになりました(金城)」。「先輩から引き継いで続けてきた研究が評価されてとても嬉しいです(新垣)」。調査・研究のほかに、大会での発表練習や質疑応答のシュミレーションを行い、本番に臨んだ。その甲斐あって本番は緊張せずに発表することができたと話す。
野鳥班では本島沿岸に
生息するクロサギを調査
神山くん、奥間くんが所属する同部野鳥班も同大会の生物部門で、奨励賞(4位)を受賞した。「僕たちが行ったのは、黒色型と白色型とがあるクロサギの体色の割合についての研究です(奥間)」。本島沿岸を回り、黒いクロサギと白いクロサギの生息分布を調べるというこの調査は3期目を迎え、分布の割合について少しずつわかってきたことがあるという。「全島調査では、車高の高いマイクロバスに乗って沿岸でクロサギを数えます。僕たちは地層によって、分布が変化するのではないかという仮説を立てています(奥間)」。この部活を通して、他の野鳥にも興味を持つようになったという神山くん。卒業後も出来る限り調査の手伝いをしたいと話してくれた。
命の大切さを改めて実感
サイエンス部ならではの
体験ができた
高校卒業後はそれぞれの道に進む4人。サイエンス部の活動を通して、自然の偉大さや命の大切さを改めて感じたという。「僕は将来、子どもたちに自然の素晴らしさを伝えるネイチャーガイドになりたいと思っています(神山)」。動植物の調査・研究には絶好の環境にある辺土名高校。サイエンス部での活動は、彼らの貴重な体験になったはず。同部の活動にこれからも注目していきたい。
(写真手前左から)
神山 知紀 Tomoki Kamiyama
環境科3年。同部野鳥班。沖縄大学の福祉文化学科に進学予定。「沖大では介護系の資格が取りたいです。自然や動物が大好きなので、将来はネイチャーガイドになれればと思っています」。
奥間 樹生 Tastuki Okuma
環境科3年。同部野鳥班。卒業後は沖縄ペットワールド専門学校に進学予定。「ドルフィントレーナーになることが目標です」。
新垣 夏実 Nastumi Arakaki
環境科3年。同部河川班。「サイエンス部に入部したことで、家族や友達に地域の動植物の生態系について説明ができるようになりました」。
金城 実希 Miki Kinjo
環境科3年。同部河川班。昆虫に興味があり、先輩に誘われて入部。卒業後は県内の専門学校へ進学予定。「イラストに関わる仕事に就くことが目標です」。
【実績】
● 河川班/第40回全国高等学校総合文化祭 自然科学部門 文化庁長官賞受賞。
● 野鳥班/第40回全国高等学校総合文化祭 生物部門 奨励賞受賞