シンガク図鑑プレゼンツ
沖縄の高校力
美来工科高等学校 藤村 柊くん
真夏の炎天下、ほとばしる汗、
息詰まる投手戦一枚の絵から甲子園の熱き戦いが伝わってくる
今年の夏の甲子園のポスターは沖縄の高校生が
赤と青の二色だけで描いた感動的な迫力の一枚
今年の夏の甲子園「第96回全国高校野球選手権大会」の沖縄県代表はまだ決まっていないけれど、ポスターの原画は沖縄の高校生が描いている。大会のポスター用原画コンクールで美来工科高校の藤村柊くんがグランプリを獲得し、それが夏の甲子園のポスターとして全国へ配布される。原画を生み出したきっかけなど春休み直前の放課後に話を聞いてきた。
淡々とした冷静な対応が
夏の熱い思いを一枚の絵に
朝日新聞社主催の「全国高校野球選手権大会のポスター用原画コンクール」は、毎年、全国の高校生を対象に募集しており、昨年は全国から638点の応募がありグランプリ1点、ゴールド賞5点、シルバー賞15点、ブロンズ賞30点が選ばれている。美来工科高校からは藤村くんのほか3人がブロンズ賞を受賞した。夏の甲子園をイメージさせる原画なので、デザインや高校野球が好きなのか聞いたところ、「絵はあまり得意ではなく野球もデザインもあまり興味がないです」と意外な答えが返ってきた。淡々としたしゃべり口調は高校生とは思えないほど冷静沈着で、物事をじっくり客観的に見られる少し大人びた感じがした。藤村くんがコンピュータデザイン科を選んだのも絵やデザインが好きという理由ではなく、「学校見学でパソコンを使った授業が他の学校より楽しそうだったから」と、パソコンを使うことに興味があったという。実際に授業を受けるとデザインが得意じゃないので苦労したが、ソフトの使い方やデザインの基礎を学ぶことでなんとか使いこなせるようになった。
物静かなイメージから
将来の夢を照れながら語る
コンクールへの応募の動機は「授業の課題として応募したんです。甲子園は投手の投げ合いのイメージがあったので、投手が前面に出る構図を決めるのが難しかったです」といい、写真は朝日新聞社から提供された中から選んだ。「甲子園で熱投する選手は情熱を表現した赤色に、息を飲んで見守っている観客は冷静さを表現した青色にしたことで、2人の投手と静かに見守る観客の雰囲気が感じられる絵になりました。」という。「デザインは得意ではなく野球もあまり見ない」という藤村くんだが、だからこそ、藤村くんの絵は野球やデザインの常識や枠にとらわれない、自分の思うままに描いた独特なタッチの、迫力あるポスターになったのかもしれない。最後に今後の抱負や将来の夢を聞いたところ、「3年生になると、課題研究で一年間を通して作品を作るので、マリオのようなゲームを作ろうと思っています」という。藤村くんはゲームが好きで、特にRPGが好きだという。「いつか自分でもゲームのプログラムを作りたいので、フラッシュのアクションスクリプトの基本から勉強したいです」と答え、「将来はITやゲーム関連の仕事に行ければいいかなぁ」と照れながらも応えてくれた。
藤村 柊 Shu Fujimura
コンピュータデザイン科3年。コンピュータデザイン科3年。パソコンは高校に入るまで家でネットサーフィンをするくらいで、ソフトの使い方やデザインなどは授業で教わってからやるようになったそう。
【実績】
●第96回甲子園ポスター用原画コンクール グランプリ