シンガク図鑑プレゼンツ
沖縄の高校力
中部農林高校 福里 勇弥くん
近所の人も期待してくれている
立派な力士になって地域に恩返ししたい
冬の訪れを感じる12月の沖縄。土俵の上では、見上げるような大きな身体のすもう部員たちが激しくぶつかり合っている。あたり稽古で吹き出る汗を拭いながら、厳しい練習にはげむ福里勇弥くんもその一人。3月からは九重部屋に入門し、プロの世界に足を踏み入れる3年生だ。
最初は野球のためだった
全国3位が本気のきっかけに
野球チームの先輩のおばぁちゃんに声をかけられ、小学校3年ですもうを始めたという福里くん。当時は野球のために足腰を鍛える目的で始めたので、すもうは好きではなかったという。「小学校4年の時に、全国大会で3位になったんですよ。成績を残すのが楽しいなぁと思って」。そこから、中学・高校とすもう一筋の日々が始まる。現在も、すもう部で週に6日、土日も練習に励む毎日。体重をつけるためには食事も練習のうち。「米だけなら1食で5合はいけるんじゃないですか」と笑う彼に辛いことはないかと聞くと、「練習した分だけ強くなれるし、成績を残せる。本気になってからはすもうを辞めたいと思ったことは一度もない」と言いきった。夏休みが終わった頃にプロか進学かで悩んでいたんですけど、顧問の先生に『おまえはプロに向いている』と言われて、すもう部のOBがいる九重部屋への入門を決心。両親も応援してくれている
親方も「待ってるぞ!」と
不安より楽しみが大きい
新弟子検査で、力士の最低合格ラインと言われる身長173cm、体重67kgを軽くクリアするほど、現役力士並みの体格に恵まれた福里くん。今後、プロとしてさらに厳しい稽古の日々を目前に控えた彼だが、不安はないのだろうか。「今まで何度か合宿に参加して、寝泊まりしたり、すもうを取ったりしてるので、不安はないですね。弟子もみんな同年代くらいだし、九重親方も『待ってるぞ!』と言ってくれてるんで、むしろ楽しみです」と、すでに新しい生活へのビジョンが確立しているようだ。すもう部屋に入門が決まってからは、近所のすもう好きな人たちなどが「期待してるよ」と声をかけてくれることも多くなったという。
上京を目前にしたそんな福里くんに今の想いを語ってもらった。
「顧問の先生方やOBの先輩方には感謝してますし、近所の人たちも期待してくれている。プロになるからには、世話になった人たちの期待に応えられるように、早く昇進して、TVで観てもらえるような力士になりたいです。それが地域への一番の恩返しだと思います」
福里 勇弥 Yuuya Fukuzato
中部農林高校3年生。小学校3年の頃からすもうをはじめ、中学・高校と約10年のすもう経験を持つ。小学校4年に全国大会3位、高校で九州大会団体戦3位の好成績を残す。186cm・132kgの恵まれた体型で、2012年3月からは九重部屋に入門を決めた。