シンガク図鑑プレゼンツ
沖縄の高校力
興南高等学校 新里 葉津紀さん、玉城 弘也くん(エアライフル部)
1発1発を大切に。
一点集中を極め手に入れた
世界への挑戦キップ
全国の友達が応援してくれたから諦めずに頑張ってこれた。次は大学でもっと大きな舞台を目指す
エアライフルとはなかなか聞き慣れない言葉だが、射撃競技の一種で、火薬を使用せず、空気圧で鉛の球を飛ばし、的にあてるというもの。まだまだ沖縄での競技人口は少ないが、その中でも興南高校の新里さんと玉城くんは、全国大会では常に上位に名を連ねる実力者で、オリンピック出場候補としても期待されている。
1発1発考えながら打てば
試合でも必ず結果が出せる
ふたりがライフル競技を始めたのは中学生の時で、最初はライセンスなしでできるビームライフルだったという。こちらはビーム光線を的にあてるというもので、子どもでも参加することができる。沖縄県内では南城市大里にある沖縄県ライフル射撃場が主な練習場所になっていて、そこでたまたま出会ったふたりだったが、偶然にも同じ高校に進学したということで、エアライフル同好会をつくることに。エアライフルは火薬は使用しないが、人に向けて打てば大変危険であるため、銃刀法に該当する代物である。まずは公安でライセンスを取得し、さらに銃の所持や貸借、購入にも申請が必要となってくるので、気軽に楽しめるスポーツというわけではないが、「エアライフルが好きだから」と苦になっていない様子のふたりだった。また、エアライフルの魅力について尋ねると、「すごく集中力がいるし疲れる競技だけど、練習でちゃんと1発1発考えながら打てば、おのずと結果はついてくる(新里さん)」、「沖縄でやっている人が少ない分、全国にたくさん友達ができた(玉城くん)」と話してくれた。
世界でレベルの違いを実感
エアライフル競技の的は10m先にあり、一番外側の円(1点)の直径が45.5mm、その中に500円玉くらいの大きさの黒点(4点〜10点)があって、一番中心の10点は0.5mmという、まさに技術と集中力が必要な競技。玉城くんは「エアライフルを始めてから集中力がついた。1点集中を極める感じ」と話す。女子は1時間15分で40発、男子は1時間45分で60発を打ち、合計点で競うが、ふたりとも「10点以外はダメ」という強者ぞろい。それでも成績が伸び悩んでいるときや、ひとりでの練習に疲れてくると「やめたい」という気持ちにもなる。そんな時、ふたりを支えてくれるのは県外にいる友人たちで、「みんなが励ましてくれるから、今まで続けてこられた」と玉城くん。はじめは人見知りで、なかなか新しい友人もできなかったが、県外での大会に参加しているうちに、自分から話しかけられるようになったとのこと。また、新里さんはドイツで行われた世界大会にも出場していて、「向こうは子どもの頃から銃に慣れているし、レベルが全然違う。海外の選手とももっと交流して、自分もレベルアップしたい」と話してくれた。ふたりは4月から大学生。それぞれ違う大学ではあるが、ともにライフル競技が盛んな学校なので、まずはそこで腕を磨き、大学代表、そしてナショナルチームに選ばれ、オリンピックに出場することが目標と話す。
新里 葉津紀 hazuki sinzato
特進課3年。国体で2位、高校選抜でも3位という安定した記録を持ち、ジュニアの日本代表として世界大会にも出場。高校卒業後は中央大学へ進学し、さらにライフルの腕を磨きたいと話す。
玉城 弘也 hiroya Tamaki
フロンティアコース3年。中学生の時に、ビームライフルを始め、その面白さに夢中になる。明治大学への進学が決まっていて、ライフルはもちろん勉強も頑張り、世界で活躍できるビジネスマンを目指す。
【新里さんの実績】
第66回国民体育大会/10mARS40JW 2位
平成23年度第31回全国高等学校ライフル射撃競技選抜大会/10mARS40JW 2位
第24年度JOCジュニアオリンピックカップ 第23回ジュニアライフル射撃競技選手権大会/10mARS40JW 3位
【玉城くんの実績】
平成24年度第67回国民体育大会ライフル射撃競技 6位
平成24年度JOCジュニアオリンピックカップ第23回ジュニアライフル射撃競技選手権大会/10mS60JM 6位
平成23年度全国高等学校ライフル射撃選手権大会 10mS60JM 1位
平成23年度第55回九州高等学校ライフル射撃選手権大会 BRS60JM 1位