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沖縄の中・高校生がつくり上げる大会「Fighting of Music」

2013年02月18日

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Catch the dream INTERVIEW
Fighting of Music実行委員会

interview

中・高校生のバンドを対象としたコンテスト、Fighting of Music。
その実行委員会メンバーも全員が中・高校生。この大会を通して彼らがどう成長したのか、
そして今後はどうなっていくのか関係者から話を聞いた。

FOMの活動を通して、人として大きく成長した3ヶ月

大会全て(準備~出場まで)を中・高校生が運営するFighting of Music(以下FOM)も今回で6回目をむかえた。FOM自体はバンドのコンテストであるが、もともとは浦添市ハーモニーセンター内でバンド活動をしている中・高校生たちが、自主企画のコンテストを開催してみたいという熱い思いに周りの大人が少しずつ関わっていき、現在の青少年の人材育成事業のひとつの位置づけとなった。2005年から始まったFOMは、昨年から浦添てだこまつり内のイベントとして開催、今年も最終日の7月18日(日)にてだこ小ホールで行われ、大成功をおさめた。約3ヶ月間に及ぶ準備期間と大会当日、そしてこれからのFOMについて、FOM実行委員会委員長の上地純太くんと、彼らを影で支えてきたアドバイザーの町田さん、赤峯さんに話を聞くことができた。

見ること聞くこと全部初めて 手探りで頑張った準備期間

今年のFOM実行委員会が結成されたのは昨年の大会が終わってすぐの2009年10月。
FOM2010の準備に取りかかったのは4月になってからであったが、それまでも独自にライブを企画したりと、FOM自体の活動は行っていたという。しかし高校生のみで構成されている実行委員会のためどうしても「ライブをやりたい」という気持ちが先行し、「何のために」とか「どのように」という目的や方法は二の次になってしまい、現実味に欠けることが多かった。アドバイザーである町田さんや赤峯さんは「ステージはどうするの?」「野外でやる場合の騒音問題や、許可はどうするの?」と、問題をひとつひとつ提示していくことで、彼らに考えさせ、解決していけるように導いていく。それでも今までに経験のない彼らは、提示された問題に対し、ただ黙ってしまうだけで解決策はなかなか浮かんでこない。そこで初めて、「このイベントを行うのは何のためで、どうしてやりたいのか。」ということを考えるようになるのである。
FOMの実行委員会は、主に大会に出場する学生の中から有志を募って結成される。今回の委員長は前年に引き続きCivilian SkunKというバンドの上地純太くん。上地くんが実行委員会に入ったきっかけは、一昨年の実行委員会メンバーだった先輩から誘われたから。実はこのFOM実行委員会、大会自体は6回目であるが、4回目までは委員会のメンバーが毎年総替えというシステムが取られていた。
しかしこれではせっかく1年間かけて学んだノウハウや、イベントに対する考えかた、外部の人への接し方や礼儀など、全てのことが引き継がれないまま、その場限りになってしまうと考えたアドバイザーの皆さんが、「組織の仕組みを変えていかないといけない」と昨年から今回のような形に変更。上地くんやバンドのメンバーが2年間に渡り委員会を努めている。

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那覇であったライブのリハーサル中に委員会のスタッフをキャッチ。「来年もFOMをやりたい」と気合いは十分

今回はほとんどが浦添市外の学生である実行委員会。
打ち合わせや準備会場は浦添市であるため、まずは集合することが大変だったという。集まるとしても平日の夜か、週末の2日間。日によっては参加人数が2人とか3人という日も珍しくはなかった。それでも大会が近づくとほとんどのメンバーが準備に参加するようにはなったが、学校・部活・勉強そしてバンド活動もやりながらの実行委員会は相当大変だったようだ。アドバイザーの町田さんによると「色々と苦労していたみたいですよ。特に予算や各方面に出す文書など、今までやったことがない仕事ばかりなので。」予算については上地くんも「最初はお金の使い方や管理の仕方がわからず大変だった。」と話してくれた。
FOM名義の通帳もあり、今まで扱ったことがないような金額が動くイベントの運営。普段であれば「ま、いいか。」と思ってしまう「たった1円」でも使い道を確認し、領収書をもらい、精算するという仕事がまっている。また、メディア向けのイベント告知や各団体への協力願いなど、大人がやっても苦労する仕事をすべて彼らがこなすのである。
面白いことにこの実行委員会には女の子がいない。しかもメンバーは全員がバンドマンで、音楽のこと以外では非常に口数が少ない。町田さん曰く「実に男くさい実行委員会」とのことであるが、それゆえ、打ち合わせや準備の盛り上げ役も不在で、なかなか上がってこないスタッフのテンションに、アドアイザーの赤峯さんは最初「正直この子たち本当にやりたいのかな? と思った」という。しかも、日によって参加するメンバーがまちまちであるため、広報や予算など役割分担の担当者を決めることができず、その時に来た人でできることからやっていくという体制を取らざるを得なかった。これはノウハウを残していくという意味でも今後の課題のようである。
そんな風に大変ながらも上地くんを中心に準備は進み、本大会の1週間前に25組が参加して予選が行われ、7月18日の当日を無事にむかえることができた。

頑張れば報われる! 最後にみせた実行委員長の涙

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出場したバンドはどこもパフォーマンス・テクニックとともにハイレベルなグループばかり。コンテストは大いに盛り上がった

出場バンドは予選25組の中から最終選考に残った8グループで、優勝したのは上地くん率いるCivilian SkunK。審査員の幸田さんは「FOMはただのバンドコンテストではない。これまでの活動も審査要因に含まれる。」と、バンドのスキルはもちろん、実行委員として頑張ってきたメンバーを評価する。そして、それを聞いて喜ぶCivilian SkunKメンバーの影には、ひとり涙をこらえる上地くんの姿が。赤峯さんは「あの姿を見た時は感動しました。準備期間中はあまり感情を表に出す子ではなかったので分かりませんでしたが、あぁ、この子、情熱を持ってやっていたんだなぁって思いましたね。」とその時を振り返って話してくれた。終わってみて上地くんに感想を尋ねると「ほっとしたし、楽しかった。来年は後輩の子を育てられるようにしっかり取り組んでいきたい。」と早くも来年のFOMのことが頭にあるようだ。また、町田さんに「活動当初と今と彼らの様子に変化があったか」と尋ねると、「大きく変わった。初めは自分のことや自分たちのバンドだけで精一杯だったのが、最近では周りのことを考えたり、意見を聞いたり、ずいぶん成長したと思う」。今回の実行委員会のメンバーは半分が1年生。彼らが来年、再来年とノウハウを蓄積し、イベントをもっと盛り上げていってくれることを期待している。

大人もともに取り組める新しい『居場所』としてのFOMをめざして

やっと組織としてのFOMができ上がってきた感じではあるが、まだまだ課題は多い。そのひとつが、「卒業したらどうするか」ということ。高校生の時にせっかく3年間もFOM実行委員会を務めあげたのに、そこで終わりにしてしまっては、これまで学んできたことがその時点で止まってしまう。これではもったいないし、高校を卒業した後の彼らの居場所をつくりたいと、現在、浦添市立中央公民館分館では「おやじのFOM(仮)」を検討中とか。おやじとは言っても参加年齢に制限はなく、大学生からご年配の方まで参加OK。実現すれば、FOMとおやじのFOMコラボ企画など、活動の幅はもっと広がっていくことだろう。
また、実行委員会メンバーの家族がもっと参加できる仕組みをつくりたい、という意見もある。現在は彼らの送迎をしてくれている家族のみなさんにもっと関心をもってもらい、高校生であるが故に苦手としている「広報」や「協賛」といった活動を手伝ってもらえれば、さらにイベントの認知度も高まり、質の向上も期待ができる。さらには、家族の「居場所」としてFOM実行委員会があってもいいんじゃないかと町田さんは言う。家族、そして地域で盛り上げるFOMが近いうちに実現するかもしれない。
FOMは人材育成のプロジェクトではあるが、決して「育てる」というスタンスではない。アドバイザーのみなさんも「自分たちで育っていくのを少し後押しする」という気持ちでやっている。そして彼らの「やれる力」を信じているという。大好きな音楽をきっかけにし、人との関わり方や社会の仕組み、夢を実現させるための方法をまなび、学校生活や私生活にも活かすことができれば、きっとそれは将来の自分にもプラスになっていくに違いない。そういう希望いっぱいのプロジェクトなのである。

profile

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実行委員会委員長
上地 純太 Junta Uechi
豊見城南高等学校2年。自身もCivilian Skunkというバンドを結成し活動中。FOM実行委員会は今年で2年目、そのうち二期に渡って委員長を務める。普段はもの静かだが、音楽のことになると熱くなるバンドマン。
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FOM実行委員会 アドバイザー
町田 宗正さん Sousei Machida
(浦添市立中央公民館分館主事)
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FOM実行委員会 アドバイザー
赤峯 尚美さん Naomi Akamine
(浦添市立中央公民館社会教育指導員)


Fighting of Music実行委員会(一部メンバー)

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神里 昂輝 Kouki Kamizato
(那覇高校2年)
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安里 和樹 Kazuki Asato
(沖縄工業高校1年)
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太田 守稀 Moriki Ota
(那覇高校2年)
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安里 卓真 Takuma Asato
(首里高校1年)


浦添ゆいゆいキッズシアター/チャレンジ精神を養い自己表現する喜びを学ぶ

fom_11浦添市立中央公民館分館では、この他にも浦添市文化振興事業の一環として始まった子ども演劇ワークショップから発展して結成された浦添ゆいゆいキッズシアターが通年で活動中。演劇・ダンス・バンドと3部門の構成で、50人ほど在籍している。参加しているのは浦添在住の小学校4年生~高校3年生で、年に数回行われる舞台発表にむけて日々稽古に取り組んでいる。練習では時々思うようにできずつらい思いをする参加者もいるというが、誰ひとりくじけることなく、一生懸命打ち込む姿は見ているだけで清々しい。演出や脚本はすべてプロが行い、指導ももちろん本物志向の手抜きなし。劇中の音楽もほとんどオリジナルでしかも生バンドに生オーケストラという本格的な公演で、そのクオリティーの高さに驚かされる。浦添ゆいゆいキッズシアターは今年で9年目をむかえ、12月にはてだこホールにて、平成22年度浦添市文化芸術振興事業で初のオペラ『アオリヤエ』(尚寧王妃の物語)に挑戦する。ぜひ家族で足を運んでみて。

【問い合わせ先】
浦添市立中央公民館分館 TEL.098-879-6640
ブログ●http://yuiyuikids.ti-da.net/